RYTHME


本当に大切な人だったんだな。

『りず』って人。


表情を見ればすぐに分かる。


『りず』の話をしているとき、二人は本当に優しい顔をしてる。

愛しいような、懐かしむような、そんな笑顔。


そこまで大切な人がいる事、正直、羨ましいよ。

俺は、転校人生だったから、さ。


「親友には親友なりの、水城には水城の可愛さがあると思う。そこは比べる場所じゃない」

「別に私は……」


そうだ、二人は違うんだから。

違う良さがある。


「親友の顔は知らないけど、水城が可愛いのは確かだよ。……だからさ、そんな比べるようなこと、言わないで」

「なに、言って……」

「水城が言ってることは、自分を否定してるようにしか聞こえない。むりやり自分に言い聞かせてるようにしか……聞こえない」


自分の存在すら、劣っていると言っているように聞こえる。
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