キミとの恋は永遠に輝く



「だからね美央。オレは新しくできた腫瘍を取り除く手術は受けないって決めたんだ。

明日、小さくなった最初の腫瘍を取ってもらう。
そして、脳幹の中の腫瘍は抗がん剤と放射線治療でできる限り小さくしてみせる。

だから、美央にはそれなりの覚悟をしておいてほしいんだ。

オレが、オレじゃなくなったときも……
美央には笑っててほしいから」




涙が止まらない。



「おいで、美央」


私は、聖くんの腕の中に泣き入った。


大きくて、温かい手のひらが私の頭を優しく撫でてくれている。


「やだよ聖くん……そんなこと言わないで」



「美央、笑って。
まずは、手術を頑張るから。
オレに、美央の力をちょうだい」


聖くんがゆっくり私の顔を上げた。


「あはは!美央のほっぺ柔らか~い」


「へ、へいくん。ひゃめてよ、伸びちゃう」
(せ、聖くん。やめてよ、伸びちゃう)


聖くんは精一杯私を笑わせようと頑張ってる。


私も笑わなくちゃ。


口角を上に、精一杯引き上げた。


ちゃんと笑えたかどうかわからない。


でも、その瞬間





私の中で、時が止まった。


唇になにかが触れた。




「美央のファーストキスは、オレがいただきました!」


そう言って、舌を出してニコニコ笑っている聖くん。



顔から火が出るかと思うくらい真っ赤になるのがわかる。


「あれ?みーおー?固まってんの?」


聖くんの手が目の前をちらちらしている。


「聖くん……今のって……」



再び涙がこぼれた。


「えっ!み、美央!?
ごめん、オレ…いきなりイヤだった?」



思いっきり首を振った。


「違う、イヤじゃ、ないの。
すごく……う、嬉しいのぉ~」


とても大切なファーストキス。


あなたがもらってくれて、すごく嬉しいの。


本当に大好きだよ、聖くん。


< 115 / 294 >

この作品をシェア

pagetop