キミとの恋は永遠に輝く



「早く救急車を!」


「出血がひどい!
誰か止血を手伝ってくれる人いませんか!?」


その周りでは通りかかった多くの人が慌ただしく動いている。



「なんで……?」


竦んで動かない足を無理矢理動かして、彼の元へと寄っていく。


「聖くん……?」


「……」


嘘だ。


「聖くん……ねぇ聖くん!
おねがい!目を開けて!」



意識を失う直前、確かに聖くんの声がした。


私を心配して、後ろからついてきてくれていたの?



「ちょっとキミは?」



メガネをかけてスーツを着たおじさんが、手を真っ赤に染めながら私を不思議そうに見た。


「私のせいだ……私のせいで聖くんが」




心臓が、嫌な音をたてる。


聖くんが……いなくなっちゃう……




「キミ、この子の知り合いかい?」




「……さい」


「え?」


「助けてください……!!!
聖くんを……彼を助けてください!
お願いします!お願いします!」


気がつけば、止血を試みているおじさんの手をギュッと掴んで、泣き叫びながら訴えていた。




「……うん!わかってるよ。
もうすぐ救急車も来ると思う。
だからキミは彼のそばにいて、声をかけ続けてくれないか?
どうやら彼は、キミにとっての大切な人みたいだからね」



優しく、力強い瞳でおじさんは言ってくれた。



聖くんごめんなさい。


あの時、素直に一緒に帰っていたら、こんなことにはならなかったのに。




聖くんお願い……助かって……!


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