キミとの恋は永遠に輝く


病院では、必ず10時になると電気が消える。


でも私たちは頭元の小さな電気をつけてお話していた。



「ねぇ聖くん。隣に行っていい?」


「いいよ、おいで」


簡易ベッドから聖くんのベッドに移った。

ポカポカして心地よかった。


「なんか懐かしいね」

「うん、一昨年もこんなことあったな」


もう2年も前のことなんだ。

聖くんは3年も病院にいるんだね。


「聖くん、寂しくない?」

「え?」


とっさに出た言葉だった。


「聖くん、3年も病気と闘ってるよね。
1人で……寂しくない?」


「……」


しばらく沈黙が続く。


「……い」

「え?」


「オレ、すごく…怖い……」

「…っ…!」


声が出なかった。


「3年も同じ治療をして…
治るかと思ったらまた……
オレどれだけ頑張ればいいんだろ…?」


どんどん漏れてくる本音。

今までに見たことない聖くんの姿だった。


腕で隠してるけど、涙は次々と頬へ垂れる。



「オレ…もう死ぬのかな…?」

「そんなことない!そんな…やだ…」


溢れようとする涙。

私が泣くべきところではない。

ぐっと堪えた。


「ごめんな美央。
でももうオレ…無理だよ」

「無理じゃない…」

「治らないんだよ…もう。
手術してもまた新しいのができる。
薬が多くなるだけ…苦しくなるだけ。

もう、生きているのが怖いんだ…ぅっ」


そこまで話すと、聖くんの息が荒くなった。


「聖くん…?」

「…っ、美央…吐く……」


急いで枕元の洗面器を差し出す。


術後の吐き気は激しく、夜ご飯から胃液まで全てを吐ききった。

それでも治まらず、えずくばかり。

私はひたすら背中をさするだけだった。


「聖くん、ナースコールしようか?」

「…しなくていい……」

「でも、苦しいの辛いよ?」

「…っ、美央が…いればいい…」


苦しくて涙目になりながらも、聖くんは私を求めてくれた。


「聖くん……」

「…っ…み…お、手…握って……っ」


私にできるのは、手を握ることだけ。

力いっぱい手を握った。


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