キミとの恋は永遠に輝く


朝、聖くんに髪を結んでもらった。


小さい頃、1度だけしてもらったのを思い出して私からお願いしたの。


あまり手に力が入んないと言いながらも、一生懸命結んでくれて、嬉しかった。



「じゃあ、またね」

「うん、気をつけて帰れよ」


あっという間に時間は過ぎ、とうとう帰らなければならない。


今、私たちがいるのは病院の中庭。


車椅子を押しながら、2人の時間を惜しんだ。


「ありがとな、色々と」

「ん?」

「夜、ずっと話聞いてくれて」

「そんな…彼女なんだから当たり前だよ」


「オレは幸せだな」


話せば話すほど帰りたくなくなる。


もうこのまま、ここにいたい。


聖くんがそばにいることが当たり前だと思っていた日に戻りたい。



……でもそれはできない。


私は私のするべきことをしっかりしないと。



「あ、これ……」


ポケットから何かを取り出した。


「なーに?これ」

「オレの、ウォークマン。
もう聴かないからお前にやる」


オレの……って、嘘だ。


聖くんが持ってたのは青だったはず。


だけどこれは、ピンクだ。


「中にはもう曲入れてあるから、帰りの新幹線で聴いて帰れよ」


なんて不器用で優しい人なんだろう。


「ありがとう聖くん、すっごく嬉しい!」


聖くんは照れくさそうに笑った。


「じゃあ、また来るね」

「うん、オレも早く治して、そっちに帰る」


「12月…聖くんの誕生日には絶対に行くから」

「うん、待ってる」


最後にそう言葉を交わして、軽くキスをした。

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