キミとの恋は永遠に輝く
それから私たちは、お見舞いに来たおばさんたちに全てを話すことにした。
「母さん、ちょっと話があるんだ。父さんは?」
早速、聖くんが話を切り出した。
「お父さん今、飲み物買いに行ってるよ。
改まって、どうしたの?」
おばさんが不思議そうに聞いてきた。
「オレ、美央と付き合ってるんだ」
「「「ええっ!?」」」
聖くんが直球に言ったおかげで、おばさんと妹の叶ちゃん、いつの間にか帰ってきたおじさんの声がハモった。
「お、おじさん、こんばんは」
「おう美央ちゃん!
で、聖夜。お前、今なんて?」
「美央と付き合ってる」
「付き合ってるって……
美央ちゃん、聖夜の病気知ってるわよね?」
「はい、全部聞きました」
いつもは明るい赤城家の空気が重くなった。
「美央ちゃん?」
「はい」
いつも見ない険しい顔をしているおばさん。
「この子の病気ね、病院の先生から、もうかなり進行してるって言われたわ。
私の口からこういうこと言うもんじゃないけど……あなたのためにも、お付き合いはやめてくれないかしら」
おばさんの目がうるうるしているのが見えた。
おばさんも辛いと思う。
6年、私を実の娘のように思ってくれた優しいおばさん。
私のことを思ってくれてすごくありがたい。
わかるよ。
これから聖くんは、想像もつかないほど辛い治療をしなくちゃならない。
私がそばにいてもどうにもならないくらい、辛くて苦しい思いをしなければならない。
でも……
「別れません」
聖くん以外、みんなが目を丸くして私を見た。
聖くん、私、引き下がらないからね。
ずっと一緒にいたいから。
「私、物心ついたときにはそばに聖くんがいました。
一人っ子の私にとって聖くんは、お兄ちゃんも同然で、聖くんがそばにいないことなんて考えられなかった。
どんなときもそばにいて、相談にのってくれたり、励ましてくれたり……」
ダメ。まだ泣かない。
ここで泣いたら、聖くんは遠くへ行ってしまう。
グッと目に力を入れて、再び話そうとした。
「あのな、美央ちゃん」
先におじさんが口を開いた。
「おじちゃんたちもこんなことは言いたくないんだけど、聖夜はこれから病気がどんどん進行して、美央ちゃんの知ってる聖夜じゃなくなるんだ。
……言ってることわかるかな?」
「はい、わかります…」
「それなら……」
「それでも私、聖くんのそばにいます」
「「えっ?」」
おじさんの言葉を遮って私は声を大きくした。
「おじさんたちは、聖くんが私の負担になると思っていませんか?
もし思っていたなら、それは違います。
聖くんのそばにいない方が、もっと私の負担になるんです。
聖くんがそばにいないことなんて考えられません。
私、かなり頑固ですから。
こうと決めたことは、決して諦めません。
だから、聖くんが死んじゃうなんて考えられないし、聖くんは絶対に生きると信じます!
おじさん、おばさん、叶ちゃん、聖くん…
私は、聖くんを諦めたりしません。
聖くんのそばにいて、一緒に闘います。
だから、聖くんのそばにいさせてください…」
違うかもしれないけど、おじさんたちは聖くんを諦めてると思った。
脳腫瘍だからって、すぐに死んじゃうって決まったわけじゃない。
たとえ、私のことを忘れちゃったとしてもそばにいて、思い出させてあげればいい。
聖くんの未来を誰も信じなくてどうするの…