優等生の恋愛事情
澤君や瀬野ちゃんは私の友達だから。

それに、お互いにカップル同士だから気楽なとこもあった。

でも……。


(こういうときって、手とかつないでないほうがいいのかな? どうなのかな???)


「あのね、諒くんっ」

「大丈夫だよ」


(あっ……)


心もとない私の手を、諒くんがきゅっと握ってくれた。


「柄悪そうに見えるけど気のいい奴らだから」

「う、うん」


(手、つないだままでいいんだ)


別に見せつけたいとかじゃない。

でも、諒くんの気持ちが嬉しいし。

そわそわも、おどおどもしない、自然体の諒くんをカッコいいなと思った。


「私、瀬野ちゃんみたいに挨拶したほうがいいのかな?」

「奴らの傷口に塩塗るような行為は厳禁です」


(傷口に塩塗る行為って……???)


その意味はすぐにわかった。


「なんだよぉおお!!三谷もかよぉおお!」

「八代は可愛いコと一緒で、三谷はキレイなコと一緒って!?」

「オレ、何気にダメージでかいわ……」


3人の悲痛な叫びに、諒くんも私も苦笑い。

瀬野ちゃんは彼らに向かって「カレがお世話になってます♪」という痛恨の一撃をお見舞いしたのだろうか。


「いいなぁ、オレなんて最後に女子と話したのいつよ?」

「“いずれの御時にか――”」

「平安かよ!」

「リアル彼女かぁ~」

「いっそもう超高次元に行くしかねえ……」


えーと、なんというか……。

諒くんが言ったとおり、男の子たちは気のいい人たちだった。

ただ――。


「文化祭には女の子のお友達いっぱい連れて見にきてください!お願いします!」

「は、はいっ」


3人から真剣に頭を下げられて、思わず安請け合いしちゃった私なのだった。

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