優等生の恋愛事情
「昼間は親いないわけでしょ?」
「うん」
「それを承知で行くわけだよね?」
「それはまあ、そうなんだけど……」
頼んでいた料理が来てからも、ハルピンはモリモリ食べながら、ズンズン話し続けた。
「実際さ、溝口的にはどうなわけ?」
「どうって?」
「“何か”あってもいいのかって話」
「それは……うーん、どうなんだろ……」
私が言葉を濁すと、ハルピンはすかさず突っ込みをいれてきた。
「即答しないんだ」
「えっ」
「“いいわけないじゃん”とか、“そんなの困るよ”とか、そういうふうには言わないんだなって」
「それは……」
「期待してる?」
言い当てられて、驚いて、恥ずかしくて。
どうしようもない私は堂々と開き直った。
「期待するのはヘンですか? フシダラですか? ビッチ確定ですか?」
「ちょっと、誰もそんなこと言ってないし」
「でもっ」
「ごめん……」
「へ?」
ハルピンは持っていたフォークを一旦おくと、折り目正しく頭を下げた。
「私の言い方がよくなかった。本当、ごめん」
「やめてよ、気にしてないし」
「私、なんかいやらしい言い方だったじゃん」
「いやまあ……ほら、私が自分に都合いい程度に何か期待してるのは事実だし?」
あからさまにぶっちゃけると、ハルピンは笑顔で言った。
「あんたのそういうとこ、すごい好き」
私だって、ハルピンの率直さとか潔さとか、大好きなんだけどね。
「あのさ、溝口」
「ん?」
「ちょっと、へんなこと聞いてもいい?」
「……いいけど?」
ハルピンのかしこまった感じがちょっと気になる。
「もしもね、もしもだけど、溝口が高校卒業までは、その……カラダの関係は無理って言ったら……三谷はそれでもつきあってくれると思う? 待ってくれると思う?」
(ハルピン……???)