優等生の恋愛事情
誰も居なくなって、ほっとしてる自分がいた。

学校が苦手。
クラスの人間関係が苦手。
わけのわからない序列が苦手。


特に女子の人間関係って面倒くさい。
パワーゲーム、バランスゲーム。
いつもいつも、
自分の立ち位置の安全確認ばかり。


私は小学校の高学年で辛い経験をしたのをきっかけに、中学では周りと少し距離を置くようになった。


どこかのグループに入らなければと無理することをやめたのだ。


陰口を言っているのには混ざらない、自分のが聞こえても気にしない。


たぶん、私は間違っていないと思う。少なくとも、誰かを傷つけるようなことはしていないもの。


でも、いつも一人だ……。


女子って、同調しない奴は仲間として認めないみたいなところがあるから。


女が一匹オオカミ(?)でいるのは大変だ。集団行動をよしとする人たちは、群れない奴をチクチクしたがるもの。


それでも卑屈にならずにすんだのは勉強ができたから。


中学になると、勉強にしてもスポーツにしても能力の差があからさまに晒される。


いつも成績上位にいると、むやみにバカにされないし、いじめられたりもしなかった。


ただ、委員会やら何やらのみんながあまりやりたがらない仕事を自動的に任されたりはするけれど。


けどまあ、それだってこなせる範囲のこと。


愛想笑いをしたり、陰口に同調したりするよりは、ずっとずっと楽チンだもの。


(ふぅー、これでおしまい!っと)


ゴミ捨てを終えて空っぽのゴミ箱を元の場所へ戻そうしたときだった。


「わっ……ああっ……!!」

  
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