優等生の恋愛事情
けど、とてもじゃないけど、加藤さんたちのところに割り込むことはできそうにない。


(三谷くんは相変わらずなのかな、高校でも)


高校でも委員長やってるの? 
弓道は続けてる? 
やっぱり理系に進むの? 


これといった何かがあるわけじゃないけれど、彼と話したかった。

でも、結局は視線すら合わないまま……。


「ハーイ、そろそろ一次会はお開きだから会費あつめるよー。二次会はカラオケねー」


上沼さんの一声で、みんながざわざわ動き出す。私もお財布からお金を出して帰り支度をしていると――。


「溝口さん」

「あ……」


顔を上げると、三谷くんがいた。


「溝口さんは二次会行くの?」


「元気だった?」も「久しぶり」もなく、いきなりだった。

そして、私の答えも待たずに三谷くんはさらに言った。


「送らせて。行かないなら」


(えっ……)

 
< 25 / 169 >

この作品をシェア

pagetop