優等生の恋愛事情
三谷くんの反応が気になる。
でも、顔を見るのは怖い。
でもでも気になる……。

私はおずおずと三谷くんを見上げた。


「どうしよう」

「え?」


(そ、それは私の台詞なんですがっ)


三谷くんは立ち止まると、ちょっと困った表情で私を見つめた。


「僕、嬉しすぎてなんて言ったらいいかわからないや」


(私のほうこそ、なんて言ったらいいかわからないよっ)


だって、
困り果てて微笑む三谷くんが、
とっても大切で。

でも、
だからちゃんと伝えなきゃ。
伝えたい。


「あ、あのね」

「うん」

「私ね、三谷くんが女の子だったらいいのにって何度も考えたことあって」

「ええっ!?」

「あっ、過去形だからっ」

「う、うん……」

「中学のとき、私にとって三谷くんは唯一の友達みたいで。それに、恋愛がどうとかいう話に私って本当に疎くて。だから、自分でもよくわかっていなかったみたいなんだけど……」


伝えるんだ、ちゃんと。


「私も、三谷くんのこと好きだったんだと思う。友達の好きとは違う好き、という意味で」

  
< 51 / 169 >

この作品をシェア

pagetop