優等生の恋愛事情
肩と腕がときどき触れる、
とてもとても近い距離。
黄昏時の駅へと続く並木道。


「六川君は元気?」

「ロクちゃん? 相変わらずかなぁ」

「そっか。あ、そういえばね、私のクラスの友達も東雲の人とつきあってるんだよ」

「そうなの? 1年?」

「たぶん」

「じゃあ僕も知ってるかな? 誰だろう?」


彼氏彼女になった私たちは、やっぱりとりとめのない話をしながら歩いていた。

本当は、聞きたいこと、話したいことがたくさんあるはずだった。

なのに、
照れくさくて、
なんだか胸がいっぱいで。

でも、どんな話をしていても楽しくて、嬉しくて、あっと言う間に駅へ着いてしまった。


(“後ろ髪を引かれる思い”って、こういうのを言うんだ……)

   
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