優等生の恋愛事情
大好きな人が目の前にいて、私だけを見ていてくれる。

一緒にいられる今このときを、同じように大事に愛しく思ってくれる。

ドーナツは甘くて美味しくて。

男の子がもりもり食べる姿は、見ていてとっても気持ちがよくて。

何もかもが嬉しくて楽しくて、幸せすぎるよ。


「お客様、よろしければコーヒーのおかわりはいかがですか?」

「「お願いします!」」


私たちは時間も忘れていろんな話をした。


「あ、そうだ。前に、私の友達も東雲の人とつき合ってるんだよって話したの覚えてる?」

「もちろん。同じ一年なんだよね」

「うん。八代君って言うんだって」

「八代って……八代優?」

「そうだと思う。お友達?」

「うん。クラス違うけど委員会が同じでさ。ちなみに、クラスはロクちゃんと一緒」

「そうなんだ」


私も瀬野ちゃんもいわゆる他校恋愛なのに。

自分の彼氏と友達の彼氏が同じ学校で、さらに友達だなんて、なんかすごい偶然?

そういえば――私ってば、高校でのことまだあんまり聞いたことなかったかも???


「委員会って、何の委員なの?」

「環境委員ってやつ。花壇の手入れとか、地域の美化活動に参加したりとか」

「クラス委員じゃないんだね」

「そういうのはもっと適任なのがいっぱいいるからね。僕なんかは地味な役どころに、ちょうどよくおさまるだけ。聡美さんは?」

「私も似たような感じ。しっかりした人がいっぱいいるから。一学期は数学の教科係だったよ」


成績にしても、責任感にしても、私なんかより上の人がいるから。

とくにうちのクラスは雰囲気がよくて、壮絶な譲り合い(押し付け合いとも言う……)もないし。
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