優等生の恋愛事情

「そういえば。諒くん、部活は? 弓道は?」


東雲は武道系の部活が盛んだから弓道もあったと思うけど。


「弓道は中学でおしまい。僕んとこって武道系はガチですごいから、とてもとても……」

「そっかぁ。じゃあ今は?」

「今は、連――」

「え?」

「えーと、美術工芸部っていう文化系のやつ」

「そうなんだ」


(さっき何か言いかけたように思ったんだけど……ただの気のせい?)


「美術部と書道部と写真部と……そのへんの部が一緒になったような部活っていうか。部員数が減って存続の危機にあった部が合体した経緯があるらしい」

「へえー、いろいろあるんだね」

「聡美さんは?」

「えっ、私は……」


そりゃあ話を振れば聞き返されるよね……。

私の部活って、たぶん地味の頂点にたつ部活だと思う。


「……囲碁部」


(先輩方、堂々と名乗れない意気地なしの後輩をどうか許してください……)


「おおーっ!渋くてカッコいいね!」

「へ? そ、そう?」


さすがに苦笑いされるかと思ったけど、想定外? 

いや、諒くんなら順当とも???


「そうだ。僕、話さなきゃと思っていたことがあったんだ」

「え?」

「ちょっと見て欲しいんだけど――」


すると、諒くんはスマホを取り出しで、何やらどこかのサイトを開いて「これこれ」と言って私に見せた。


「夏祭り?」

「うん。神社、好きなんでしょ?」

「諒くん、すごい角度からきたね……」


いや、確かに神社が好きなんだけどね、うん。


「一緒に行かない?」

「えっ」

「勉強以外のこと、しよう?」

「……っ」


(そんな言い方されたらもうっ……)

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