特殊探偵世界係!!
聞き心地のよいバリトンボイスが泉の耳に届いた刹那、パチンと音がして目の前が真っ白になっていく。

色や景色が目の前に戻った時、泉は言葉を失った。

「え?ここどこ?」

真子が訊いてくるが、答えることなど泉にはできない。

目の前にあったのは、先ほどまでいた道路ではなかった。中世ヨーロッパを思わせるような光景が目の前には広がっていた。

精霊や妖怪の銅像が置かれ、天井には豪華なシャンデリアが煌めいている。アンティーク調の調度品の数々に泉は言葉を失った。

「泉ちゃん、幽霊……」

真子が泉に話しかける。泉に取り憑こうとしていた霊は、泉の体から離れていた。少し離れたところで苦しんでいる。

「……うう……体………………寄越せ……!」

霊は泉を睨み付け、一気に近付いてくる。

「きゃあぁぁ!!」

泉は悲鳴を上げ、きつく目を閉じる。霊がすぐそこまで迫ってくることがわかる。

「Emma!!」

「Beatrice!!」

誰かが叫ぶ声が聞こえ、泉は目を開ける。女性は泉に向かって手を伸ばし、すぐそこまで迫っていた。
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