北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
-決河-
猫はいた。断言する。
いまはもう飼ってないなんて言われたけれど、この家にはたしかにいた。
住み込み家政婦をやることになってから、ほとんど1日中を家のなかで過ごした。だからわかる。
小さな物音や、影の名残。姿を見なくても、声を聞かなくても、昼夜を問わず近くにいてくれる気配には、触れたいほどに、あたたかさがあった。
そのハチミツ色の瞳は、とろりと熱を帯びた光を発して、
なぜだかちょっぴり、ぞくっとする。
いまはもう飼ってないなんて言われたけれど、この家にはたしかにいた。
住み込み家政婦をやることになってから、ほとんど1日中を家のなかで過ごした。だからわかる。
小さな物音や、影の名残。姿を見なくても、声を聞かなくても、昼夜を問わず近くにいてくれる気配には、触れたいほどに、あたたかさがあった。
そのハチミツ色の瞳は、とろりと熱を帯びた光を発して、
なぜだかちょっぴり、ぞくっとする。
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