TanKa
ぷぷっ、力がこもって、むせてる。
笑いをこぼしそうになり、僕は何とかこらえた。

「たっつぁんもダメだな! もう、引退かねぇ」
まわりのおじさんも、茶化している。
たっつぁん、と呼ばれたおそらく田中さんと思われるおじいさんは、恥ずかしそうに頬を赤らめる。

しかし、戦いの最中(さなか)にいる2人……タケチと宇都木さんは、全くそんなことを気にしていないようで、しきりに目を動かし、札を探している。

ももひき、とか言ってたっけ?
昔から、そんな便利なものがあったのか、などとまた余分なことを考えていたら、

「ハイッ!」

宇都木さんが、顔やたたずまいからは想像もつかない素早さで、一つの札を手にした。
僕だけでなく、タケチもえっと驚いている様子だった。
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