明日は明日の恋をする
「じゃあ、俺が明日香ちゃんもらおうか。」

冗談交じりで言ったのに、ケイスケの顔が鬼の形相になった。怖い怖い。マジで冗談通じない奴だな。

「冗談だって。でもさ、明日香ちゃん気にしてるんじゃない?何で何もしてくれないんだろうって思ってるぞ、きっと。」

「…はぁ、タイミングが分かんねぇ。」

ケイスケのため息交じりの一言に俺は思わず吹き出してしまった。それなりに経験豊富な奴が中坊みたいに悩んでいる。まぁそれだけ明日香ちゃんを大事にしてるって事だろうけど。

「まぁ、俺から一言アドバイスをするなら…何も考えるな、本能のままに行動せよ。じゃあまた後で来るよ、社長様。」

それだけを言い残して社長室を後にした。

社長室から秘書課に戻る途中、携帯から電話をかけた。相手は明日香ちゃんだ。

「もしもし、明日香ちゃん。」

「はい、どうしました?」

「今日、晩御飯食べに行ってもいい?」

「いいですよ。食べたいものはありますか?」

「何でもいいよ。じゃあケイスケと一緒に帰ってくるから。」

「はい、お待ちしてます。」

会話終了。

さて、明日香ちゃんはどんな様子だろう。

そして夜 ーー

「お邪魔します。ごめんね明日香ちゃん、突然来ちゃって。」

「気にしないで下さい。」

明日香ちゃんは笑顔で迎えてくれた。相変わらず可愛い。明日香ちゃんが食事の支度をしてくれてる間、俺はケイスケの部屋で仕事の話をしていた…が、仕事が終わってまで仕事の話をしたくないので早々と明日香ちゃんのところへ逃げた。
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