明日は明日の恋をする
そして夜 ーー

ついにこの時が来た…が、緊張が通り過ぎたのか朝ほどの緊張はなかった。

ーー ガチャ

玄関の音…進藤さんが帰ってきた。

「おかえりなさい。」

「出かけるぞ。」

「えっもう?急いで着替えてきます。」

「そのままでいい。行くぞ。」

そのままって…

結局カバンだけを手に持ち、そのまま出かけることになった。

進藤さんの車に乗り、車を走らせる。

「どこに行くんですか?」

運転する進藤さんに尋ねるが教えてくれない。仕方なく外を眺めていると、オシャレな店がたくさんあり、私とは無縁の店だなぁと思っていた。

そして目的地に到着したのか車をパーキングエリアに止めて、一目散に歩き出した。

進藤さんが足を止めたのはオシャレな美容室の前だった。カリスマ美容師とか居そうな店だ。この美容室が目的地?

そして店内へ入る。オシャレな美容師さん達が笑顔で迎えてくれた。進藤さんは何やら受付のお姉さんと話をしていて、時折チラチラと私の方を見てくる。

「じゃあこちらへどうぞ~。」

「えっ私?」

状況が掴めないまま、私は奥の方に連れて行かれた。

そして数時間後、私は別人のようになって進藤さんの元へ戻ってきた。

髪の毛は可愛くヘアアレンジされ、メイクもしっかりと、服装も高級感があり尚且つ可愛らしい淡いピンクを基調としたワンピースに着替えさせられた。

何?何が起きてるの?

こうして訳のわからないまま今に至るのだが、進藤さんは何も言わないまま私の手を引いてまた車まで戻った。
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