明日は明日の恋をする
社長室にて…

「…という事で、金曜日の夜は明日香ちゃんと飲みに行くから。」

仕事の合間に高瀬さんはさっきの話を進藤さんに報告した。

「誤解なら今解けばいいんじゃないのか?」

「まぁ、たまには可愛い部下とのコミュニケーションをと思ってね。鈴里さんとか普段あんまり話しないし一緒に飲んだら面白そうじゃん。ついでに誤解もちゃんと解くから。」

何だか高瀬さん楽しそうだ。進藤さんも特に何も言わず、金曜日の飲み会が決定した。

この日はずっと高瀬さんの後ろをついて回り、仕事の流れを教わりながら無事に秘書課実践1日目が終了した。

そして秘書課実践2日目…

この日も朝から電車に揺られ会社へ向かった。この時間帯の出勤ラッシュ…とにかく人、人、人で会社務めも大変だとつくづく思う。駅に着くと高瀬さんとは別々に会社に向かって歩いた。

「おはよう。」

私が1人で歩いていると、後ろから声をかけられた。立ち止まって振り向くと鈴里さんがいる。

「おはようございます。」

私は挨拶をすると、鈴里さんと一緒に会社へ向かう。いきなりプライベートな話はし辛いので、仕事の話を色々聞きながら歩いた。

意外…といったら失礼だが、高瀬さんは会社でも一、ニを争うモテ男らしい。特に宮川さんを筆頭に秘書課と前の配属先の営業一課には高瀬さんファンが多く、特別に高瀬さんと親しくしてると睨まれるから気をつけて、とアドバイスされた。鈴里さんは高瀬さんには興味がないみたい。

「鈴里さんおはよう。」

「おはようございます。」

スーツを着た見た目40歳くらいの知らない男性が鈴里さんに笑顔で挨拶をしてきた。そして隣にいる私の存在に気づくと、軽く会釈をして私達の前を歩く。

「営業一課の沢田課長よ。」

男性がいなくなった後、鈴里さんが教えてくれた。営業一課の課長に挨拶されるなんて鈴里さんって顔が広いんだ。
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