明日は明日の恋をする
「本当に結婚がいつになるかは分からないが…俺の予想は12月の終わりには話が進むと思う。」

12月の終わり…今は8月だからタイムリミットまであと少し…。じゃあやっぱり今言わなくちゃいけない。

再びにっこりと笑顔を作り、私の想いを伝える。

「私…進藤さんの事、大好きだよ。だから…。」

「だから?」

「だから…私は進藤さんの家を出ます。」

「家を…別れるという事か?」

「私、最後は笑顔でさよならするって決めてた。お互い幸せになる為に綺麗に別れて…いつの日にか笑顔でこの幸せだった時間を思い出せるようにって。でも、突然結婚が決まって別れなきゃいけなくなった時、私は多分…心が追いつかずに進藤さんに迷惑かけちゃう。そう思ったら今のうちに離れた方がいいのかなって。」

私は進藤さんを直視出来ず、視線を逸らすかのようにまた夜景の方を見て話をする。進藤さんは何も言わず、私の横で同じく夜景を眺めていた。

しばらく2人の間に沈黙が続く…。

「完全に私の我が儘で…ごめんね。」

「明日香が決めたのなら俺は何も言わない。ただ、俺も我が儘を言っていいか?」

「我が儘?」

聞き返す時に思わず進藤さんの方を向いた。進藤さんは優しい表情で私の肩を抱きグイッと自分の方に引き寄せ、耳元で囁くように話す。

「お前はいつも1人で色々抱え込み過ぎなんだ。だから今くらい素直に思っている事を全部吐き出してしまえ。ちゃんと聞くから…。」

進藤さんの言葉に、我慢していた涙が次から次へと流れ始めた。
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