明日は明日の恋をする
8月の夏休みということもあり、遊園地にはたくさんの家族連れや学生達が楽しそうに遊んでいる。

「どれから乗ろうかな。」

私はマップを見ながら迷っていた。いきなり絶叫系に行くか、それともまずはのんびりと楽しめる系にするか…。

悩んだ結果、やっぱり絶叫系に乗る事にした。2人で絶叫マシーンをはしごする。

「じゃあ次は…。」

「…いや、ちょっと休憩しないか?」

絶叫マシーンに乗り続けたせいか、進藤さんはなんだか疲れた表情をしている。空いているベンチに座り、少し休憩する事にした。

「もしかして、絶叫マシーン苦手だった?」

「苦手ではないが…よく続けて絶叫マシーン乗れるな。」

「だって楽しいんだもん。何か冷たい飲み物買ってくるね。」

進藤さんをベンチに残して私は飲み物を買いに行く。

「あれ?」

飲み物を買ってベンチに戻ると、進藤さんと一緒に5歳くらいの男の子がいる。男の子は泣きながら進藤さんと何か話をしている。

「進藤さん、その子…。」

「どうやら迷子みたいだな。」

その間にも男の子は泣き続けた。すると進藤さんはベンチから立ち上がり、男の子を持ち上げて自分の肩に乗せ肩車をした。

「迷子センターに連れて行くか。」

「そうですね。」

「パパとママを見つけたら教えるんだぞ。」

進藤さんは肩車している男の子に話しかけた。さっきまで泣いていた男の子も肩車が楽しいらしくて、進藤さんの頭を掴みながらニコニコしている。

迷子センターに向かう途中にも、進藤さんは男の子と楽しそうに会話していた。進藤さんって意外と…って言ったら悪いけど子供が好きなのかな。珍しく仕事モード以外で笑顔を見せている。

「あっママだ。」

迷子センターに着くと、男の子が迷子センターにいた女性に指をさした。私達に気づいた女性は慌てて駆け寄ってくる。

「すみません、その子の母親です。ここまで連れて来てくれてありがとうございます。」

「ママに会えて良かったな。もう迷子になるなよ。」

そう言って肩車していた男の子を降ろした。男の子は母親の元に行き、ニッコリしながら進藤さんを見る。

「お兄ちゃん、ありがとう。肩車楽しかった。」

進藤さんは男の子に手を振りながら迷子センターを後にした。
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