明日は明日の恋をする
「子供が苦手そうなイメージだったけど、子供好きなんだね。良いパパって感じだった。」

「まぁ取り敢えず…おじさんって言われなくて良かった。」

「あはは、進藤さんでもそういうところ気にするんだ。」

「…うるさい。」

私が笑っていると、進藤さんは私の髪の毛をクシャッとしてきた。

それからベンチに座って水分補給をしながら休憩する。そしてまた次々とアトラクションを楽しみ、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。

「楽しかった~。」

最後に観覧車に乗り、向かい合って2人でマッタリとした時間を楽しむ。ただこのゆっくりとした時間は、進藤さんとの楽しい時間が本当に最後なんだということを感じさせ、時折心が切なくなる。

「…なぁ明日香。」

進藤さんは私の名前を呼び、私の隣に座りなおす。その衝動で観覧車がグラっと揺れて、私は隣の進藤さんにしがみついた。

「わわっ…ごめんなさい。」

「いや、しがみついたままでいい。そのまま話を聞いてくれ。」

進藤さんはしがみついた私をグイッと抱き寄せて話を続けた。

「俺から離れるのはもう少し待ってくれないか?せめて夏が終わるまで…俺の側にいて欲しい。」

「進藤さん…。」

私は進藤さんの顔を見ようとしたが、抱き寄せる進藤さんの手に力が入って動けない。

「今、俺の顔を見るな。情けない顔してカッコ悪いから。」

「いいじゃない。顔、見たい…見せてよ。」

進藤さんの手を振りほどき、私は進藤さんの顔を見る。

「見るなって言ってるのに…。」

進藤さんはそう囁いて私にキスをする。観覧車はちょうど頂上付近を回っていた。

「他の人に見られちゃうよ。」

「知るか。」

一度離れた唇はまた私の唇に戻ってくる。そして私は夏の終わりまで…と言っても今月末までだけど進藤さんの恋人として側にいる事にした。
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