明日は明日の恋をする
「ありゃ、明日香ちゃん寝ちゃった?」

キッチンにビールを取りに行って戻ると、明日香ちゃんが横になってスヤスヤ寝ていた。

「えぇ、色々あって疲れたのね。」

「そうだね。」

缶ビールを鈴里さんに渡し座る。

「明日香ちゃんの事、よろしくね。」

「…もしかして私、余計な事したかしら。課長にしたらこのまま明日香に居てほしかったのでは?」

「…俺、明日香ちゃんの事好きだよ。最初はさ、もしこの先2人が別れたら傷心につけ込んで明日香ちゃんを口説こうって思ってたんだけど。」

「けど?」

俺はビールを一口飲んで話を続ける。

「いつからだろうな。明日香ちゃんに対する気持ちが少し変化したんだ。好きは好きだし、明日香ちゃんが俺を求めるなら全然抱くけど。」

「うわぁ…。」

「あはは、上手く言えないんだけど、今は恋愛感情ってよりは兄妹愛みたいな感じかな。可愛い妹が辛い時はいつでも相談に乗るみたいな。」

「可愛い妹、ねぇ。」

俺と鈴里さんは気持ちよさそうに寝ている明日香ちゃんを見て微笑む。

「なんか明日香を見てたら、私も前に進みたくなってきたなぁ。」

鈴里さんがボソッと呟いた。この時はまだその言葉の意味が分からなかったが、これが原因で後に俺がトラブルを起こしてしまうなんて…まだ知る由もなかった。

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