明日は明日の恋をする
社長室の前で一回深呼吸をして、仕事モードに戻りドアをノックする。

中に入ると、ケイスケが睨みつけてきた。

「ったく、会社で騒ぎを起こしやがって。」

「申し訳ございません、社長。」

「上っ面だけの謝罪はいらないから、そっち座れ。」

来客用のソファーに座るように言われ、言う通りに座る。そして仕事を中断して俺の前にケイスケも座った。

「話は2人に聞いたよ。社内で不倫とはね。ナオトは知ってたのか?」

「あぁ、知ってた。」

「それで、何でお前が揉めるんだ?」

恐らく大体のことは把握しているはず。ケイスケはニヤッとしながら俺に聞いてきた。

「うるせぇな。惚れた女が辛そうな顔してたのが許せなかったんだよ。」

「お前が鈴里さんをね〜。いつからだ?」

「気がついたらだよ。もういいだろ?」

俺は照れからフィッと横を向き、膨れっ面をする。2人でやいやい言い合っていると、ドアをノックする音が聞こえた。

「…失礼します。」

鈴里さんが頼んでいたコーヒーを持ってきてくれた。俺とケイスケはピタッと黙り、鈴里さんの方を見る。

「ありがとう、鈴里さん。」

社長と俺の前にコーヒーを置く鈴里さんにお礼を言う。その様子を見ていたケイスケは鈴里さんに声をかけた。

「鈴里さんもそこ座って下さい。」

ケイスケは仕事モードで俺の横に座るように言うと、鈴里さんは失礼しますと言いながら隣に座った。

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