明日は明日の恋をする
「す、すみません。」

笑って誤魔化す俺の横で、鈴里さんは珍しく動揺しながら謝った。

「仲が良くて羨ましいな。さて、ここからは社長として話をさせてもらう。騒ぎを起こした3人にはペナルティを受けてもらうわけだが…。」

ケイスケはそう言いながらまずは俺の方を見る。

「まず高瀬は社長(おれの)秘書を外れてもらう。もっと言えば、秘書課課長の役職から降りてもらい別の部署に異動だ。いいな?」

取り敢えず会社をクビにはならずに済んだけど、騒ぎを起こした2人が同じ部署にいる訳にはいけないからなぁ。

そう思っていると、隣にいる鈴里さんが立ち上がりケイスケに頭を下げる。

「いえ社長、私が秘書課を…会社を辞めますので高瀬課長のペナルティはなしにして下さい。お願いします。」

「愛されてるなぁ俺。でもマイは秘書課に必要な人だから残るべきだよ。だろ?ケイスケ。」

完全に仕事モードをオフにして、ケイスケと鈴里さんと話す。

「社長として話するって言ったのに、お前は完全プライベートモードか。まぁいい。確かに鈴里さんは秘書課に必要な人材だ。高瀬…ナオトも秘書課に必要かもしれないが、もっとお前の能力を必要とする部署がある。」

「へぇ、ペナルティ異動じゃないんだ。その俺の能力が必要な異動先はどこ?」

ケイスケはニィッとして俺を見る。

「営業一課だ。」

「…営業一課?」

俺と鈴里さんは顔を見合わせる。営業一課は俺の元いた部署でもあり、沢田課長がいる部署だ。何でわざわざ俺を営業に戻すのか?

「俺と沢田課長のバトルを見たいのか?悪趣味だな。」

「沢田課長は…会社を去ることになった。本人の意思だ。」

「えっ…。」

鈴里さんの表情が固まる。


< 165 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop