明日は明日の恋をする
「家まで送ってくれてありがとうございます。何かすみません。」

「いや、俺は水沢さんと色んな話出来て楽しかったし。…ねぇ水沢さん、本当に彼氏いないの?」

「いないですよ。」

「そう…俺、頑張っちゃおうかな。じゃあ、また明日仕事頑張ろう。おやすみ水沢さん。」

貴島さんは手を振りながら帰っていった。

それにしても、頑張るってどういう意味だろう?取り敢えず家に入ろうとアパートの方を見ると、二階から見覚えのある2人が顔を出している。

「いや〜貴島君若いなぁ。お帰り明日香ちゃん。」

「高瀬さんにマイさん!?ま、まさか見て…。」

「ごめん明日香。見るつもりはなかったんだけど。」

私は慌てて二階へ駆け上がり、息を切らしながら2人の前に立った。

「部屋に入りましょう。」

真彩さんは玄関の鍵を開けて3人で部屋に入る。

「貴島君と良い感じじゃん。」

ローテーブルを挟んで座ると、高瀬さんがニヤッとしながら揶揄(からか)ってきた。

「そんなんじゃないですから。飲み会の後、1人で歩くのは危ないからって送ってくれただけです。」

何か言い訳しているみたいな言い方になってしまった。

「でもさっきの彼、明日香の事…。」

「あーダメダメ。明日香ちゃんってそういうの鈍いから。」

マイさんが何か言おうとした時、高瀬さんが首を振りながら会話を中断させた。

「そういえば、何で2人とも玄関の前に?」

「俺達もさっきまで外で食事してて、マイを家まで送ったところだったんだ。部屋に入ろうした時に明日香ちゃんの声がして、アパートの前を見てみたら貴島君と良い感じだったっていうわけ。」

偶然だったんだ。やましい事は何もないけど、何となく恥ずかしさがあった。
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