明日は明日の恋をする
「貴島さんが私を?」

1人になってようやく状況を把握でき、告白された事を実感する。顔が赤くなったが、告白のせいかお酒のせいか分からなかった。

この辺りは宿泊施設がいくつもあり、旅館近くにも建物は沢山ある。さっき真彩さんにメールしたら、進藤コーポレーションはこの旅館近くのホテルに宿泊しているらしい。

「こんなに近くにいるのにな…。」

私の頭の中に進藤さんが思い浮かぶ。この先、本当に進藤さんの事を忘れる日が来るのかな。

そう思うと、私の心は切なくなった…。

この日、私は珍しく朝まで眠れなかった。私の最強睡魔を持っても眠れないなんて。環境が変わったせいか、それとも別の理由のせいか…分からないけど取り敢えず気分転換に部屋を抜け出し、1人で早朝散歩に出かけた。

外はまだ完全に日が昇ってなくて薄暗い状態だ。それでも私はゆっくりと歩き出した。

あてもなく歩いていると、早朝にもかかわらず同じように散歩をしている人をチラホラ見かける。すると、前の方から見覚えのある2人が歩いてきた。

「マイさんに高瀬さん?」

少し近づいて確認すると、やっぱり真彩さんと高瀬さんだった。

「えっ明日香?こんなに朝早くから何してるの?」

「昨日寝れなくて、気分転換に散歩をちょっと。」

私は苦笑いをしながら答える。

「明日香ちゃんが寝れないなんて…もしかして何かあった?」

苦笑する私に今度は高瀬さんが聞いてきた。

「何にも…ないですよ。それより2人も散歩中かな?偶然ですね。」

「俺たちは密会散歩中なんだ。旅行中になかなか一緒に入れないからさ〜。」

「そうなんだ。邪魔しちゃ悪いから私は旅館に帰るね。じゃあね、マイさん高瀬さん。」

「ちょっと明日香…。」

真彩さんは何か言いたそうにしてたけど、私はクルッと振り返りそそくさと退散した。多分何を聞かれても私は答えられない。私自身、今何に悩んでいるのか分からない状態なのだ。

「何かあったわね、明日香。」

「恐らく…貴島君かな?何かしらアクション起こしたのかもね。」

2人は私が立ち去った後、様子のおかしい理由を推測していた。

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