明日は明日の恋をする
「明日香、今日はゴメンね。」

車の中で運転する高瀬さんの横から真彩さんが申し訳なさそうに謝ってきた。

「私、いまいち状況が掴めてないんだけど。」

私と進藤さんは車の後部座席へ座った。そして前にいる2人にどういう事か聞いた。

「明日香ちゃんイルミネーション好きそうだし、ケイスケも最近仕事で疲れてたから、少しでも綺麗なものを見て癒されればなぁと俺とマイで考えたクリスマスプレゼントのつもりだったんだ。」

2人がそんな計画を立ててたなんて。

そして進藤さんが住むタワーマンションへ到着し、全員車から降りる。

「じゃあ明日香ちゃん、後はよろしくね。」

「え?」

「俺とマイはクリスマスデート楽しんでくるから。バイバーイ。」

高瀬さんはニッコリ笑って真彩さんとのデートに戻った。真彩さんは手を合わせてゴメンと口パクで言った。

「ちょっと2人とも…。」

冬の冷たい風が吹く中、立ち去る2人の姿を見送る。

「明日香、部屋行くぞ。風邪引く。」

熱が上がってきたのかボーっとしながらも進藤さんはマンションの中へ入っていく。

「もう風邪引いてるじゃない。」

私はフラフラしながら歩く進藤さんを支えながら部屋の中へと入った。

久しぶりだ…懐かしさを感じつつ、取り敢えず進藤さんをベッドへ連れて行く。

「着替えてベッドに横になって下さいね。」

そう言い残し、私は進藤さんの部屋を出る。そして冷蔵庫に食材があるか確認した。

「…空っぽ。」

お粥でも作って食べてもらおうと思ったが、食材が何一つない。

「もう、どうやって生活してるのよ。」

買い出しに行こうとクルッと後ろを振り向くと、着替え終わった進藤さんが立っていた。

「ひゃああ。」

まさか後ろに立っているとは思わず、悲鳴を上げてしまった。もう声をかけてくれればいいのに。

「水くれ。」

「は、はい。」

まだ心臓がバクバクしている。私はコップに水を入れて進藤さんに渡した。

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