明日は明日の恋をする
「…クリスマスの夜に悪かったな。後は何とかなるから帰っても大丈夫だ。」

飲み終わったコップを流しに置き、ボーっとした顔で私に言う。

…全然大丈夫そうに見えないし。

「変な気を使わなくてもいいですよ。どうせクリスマスの予定なんてないし。進藤さんこそ…美玲さんと約束とかしてないんですか?」

「約束があったらそもそもイルミネーションなんて見に行かねぇよ。じゃあ朝まで看病よろしくな。」

進藤さんはニィッと笑みを浮かべて自分の部屋に戻った。

朝まで!?

様子を見て帰ろうと思ってたのに…。

美玲さん呼べばいいじゃない、と思いながらも本当は必要とされて嬉しかった。多分、美玲さんには弱い部分を見せられないから呼ばないのだろうけど。

それにしても私がなかなか前に進めないのは、こうやってたまに進藤さんと会ってしまうからなのかも。私の気も知らないで…。進藤さんも高瀬さん達もみんな自由過ぎるよ。

食材買い出しの帰りにそんな事を思いながら歩いた。

「あっ。」

外を歩いていると冷たいものが顔に触れた。私は立ち止まりゆっくりと空を見上げると、真っ暗な空から白い雪がひらひらと舞い降りてくる。

「ホワイトクリスマスだぁ。」

私は片手を前に出し、ゆっくりと舞い降りてくる雪を捕まえた。そしてしばらく雪を眺めて進藤さんが待つマンションへ戻った。

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