明日は明日の恋をする
「大丈夫かな?」

買ってきた食材を片付け、進藤さんの部屋に様子を見に行く。寝てたらいけないのでそっとドアを開けて中に入り、ベッドの前に行った。

顔色良くないなぁ。寝ている進藤さんのおでこに手を当て熱が上がってないか確認する。

「…!?」

私がおでこに手を当てると、進藤さんが驚いた表情でガバッと勢いよく起き上がった。それに驚き、私もパッとおでこから手を離す。

「ど、どうしました?具合が悪くなりましたか?」

恐る恐る進藤さんに声をかける。

「いや…明日香の手か。突然氷のようで氷じゃない冷たいものが顔に乗ってきたからビックリした。何でそんなに冷たいんだ?」

「ご、ごめんなさい。さっき買い物で外に出たら雪が降ってきて、それに触ったからかな。」

「俺の人生でこんなに驚いた事はそうないぞ。」

そう言って進藤さんは笑った。私も一緒に笑ってしまった。

「手を貸せ。」

進藤さんは私の手を取ると、自分のおでこに当てる。さっきは正体不明の冷たいものに驚いたみたいだけど、今度は冷たい私の手で気持ち良さそうにしていた。

「お粥作りますけど食べれそうですか?」

私は手を当てたまま尋ねる。

「…食欲はないが食べる。」

「じゃあ作ったら部屋に持ってきますね。」

「いや、リビングに食べに行く。」

進藤さんはベッドから降りリビングへ行く。私がお粥を作っている間、進藤さんはソファーに横になっていた。

「出来ました。」

完成したお粥を少しだけ茶碗に入れて、ダイニングテーブルに置いた。進藤さんはソファーからダイニングテーブルへ移動してお粥を口にする。

「…美味いな。」

良かった。ちゃんと食べてくれた。お粥を食べ終えた進藤さんは自分の部屋に戻らず、窓から外を眺めていた。


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