明日は明日の恋をする
「これで必要な物は揃ったな。」

「はい。こんなにたくさん買ってもらっちゃって、本当にありがとうございます。」

「必要経費と言っただろう?仕事する前に生活が出来なくなっても困るからな。」

進藤さんはさり気なく私が持つ沢山の荷物を全部持ってくれた。元彼の義雄と一緒に買い物に来ても、荷物を持ってもらった事なんて一度もない。むしろ、荷物持ちは私だった。だからこういう優しさを受けると戸惑いもあり嬉しさも感じる。

買い物が終わりショッピングモールを出ようとすると、入り口付近で福引をやっていた。

「あ、さっき買い物した時に福引券もらったんですよ。」

私は福引券を手に持ち、小走りで福引コーナーへ向かう。

チャンスは4回。

「よーし。頑張るぞ~。」

私は右の手先に全神経を集中させ、気合いを入れて福引のガラガラを回す。

出てきたのは白の玉。残念賞のティッシュだ。

「よし、次。」

同じく気合いを入れて福引のガラガラを回す。

やっぱり白の玉。そして3回目も白の玉だった。ダメだ、今日はついてない。

「ラストは進藤さん引いて下さい。」

私は諦め、進藤さんの持つ荷物を預かり、最後の1回を任せる。

進藤さんはサクッとガラガラを回した。そして出てきたのは…赤玉。

「赤玉、おめでとうございまぁす。こちらが景品です。」

福引の店員は当たり鐘を上にあげ、思いっきり鳴らしながら景品を渡してきた。

「わぁ、進藤さん凄い。何が当たったんですか?」

福引コーナーから少し離れて2人で景品を確認する。当たったのは最新の人気ゲーム機&ゲームソフトだった。

「このゲーム機、今めっちゃ人気あるやつだぁ。」

「……面白いのか?」

「私はこのゲーム機でプレイした事ないですけど…そもそも進藤さんってゲームとかするんですか?」

「いや、やった事ない。」

ですよね~。きっとゲームとは縁のない人だとは思ったがやっぱりだったか。
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