明日は明日の恋をする
「たまにはこういう遊びもいいかもな。」

進藤さんはゲーム機を見ながら笑みを浮かべる。てっきりこんな物要らないと言うかと思ったけど、意外と庶民的なところもあるんだなぁっと思いながら、思わず進藤さんをじぃっと見た。

「ん?何だ。」

私の視線に気づいた進藤さんがこっちを見る。

「あ、いえ…何でもないです。」

「じゃあ帰るか。」

進藤さんはまた私から荷物を取り上げて、車を停めている駐車場へ向かう。駐車場に着くと車に荷物を乗せ、乗り込んだ。車の中は今日買った荷物でいっぱいになった。

「進藤さん、今日はありがとうございました。」

「言葉より、明日からの仕事振りで恩を返してくれ。」

「もちろんです。頑張ります。」

私が笑顔を見せると、進藤さんも運転しながらフッと笑みを見せた。

家に着くと、2人で持てるだけの荷物を持ち、部屋へ向かう。

「俺は残りの荷物を取りに行くから、自分の部屋のセッティングしてろ。」

進藤さんはもう一度車まで荷物を取りに行った。私は荷物を広げ、部屋のカーテンやカーペット、シーツに布団などをセッティングし自分の部屋が完成した。

「進藤さん、今まであった布団などはどうしたら良いですか?」

「布団は奥の和室にある押入れに、他は処分してもらって構わない。 」

「分かりました。」

私は布団を持って和室へ運ぼうとしたが、進藤さんが布団をヒョイっと持った。

「布団は俺が運ぶから、風呂を入れててくれ。」

「はい。」

私はスーツ姿のままパンストだけを脱ぎ、お風呂の準備を始める。 お風呂を入れてリビングへ戻ると進藤さんがソファに座り、さっきのゲームの説明書を読んでいた。その姿がまるで会社の企画書に目を通しているように見えて私はクスッと笑ってしまった。
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