明日は明日の恋をする
「はぁ、寝れなかった。」

気がつくと朝になっていた。結局キスの事が気になって全然眠れなかった。

今日どんな顔して進藤さんに会ったらいいの?

ドキドキしながらリビングに行く。進藤さんはまだ居なかった。私はホッとしてキッチンで朝のコーヒーの準備をする。

ーー ガチャ

どうしよう。進藤さんが起きてきた。

「お、おはようございます。」

「…コーヒー頼む。」

私はコーヒーを入れ進藤さんの前に持っていく。そしてチラッと進藤さんを見たが昨日の夜とは違い、仕事OFFモードの進藤さんだった。

「どうした?」

「い、いえ…何でもないです。」

コーヒーを飲みながら私の方を見てくる。チラチラ見てたのがバレたかな。それにしても進藤さんはいつも通りだ。昨日の事、気にしてないのかな。それとも私が意識し過ぎてるのかな。

コーヒーを飲み終えた進藤さんは立ち上がり、仕事の準備をし始める。

あまりにも普通すぎる態度…。

まさかと思うけど、進藤さん…昨日のキスの事覚えてないんじゃ…?かなりお酒飲んでたみたいだからなぁ。

私ひとりだけドキドキして馬鹿みたい。何だか無性に腹が立ち、目の前のコーヒーを一気に飲み干した。

「熱っ。」

コーヒーは思ったより熱く、咳き込んでしまった。そんな様子を支度を終えた進藤さんは『何やってんだコイツ』みたいな目で私を見る。

「コホン…お仕事いってらっしゃいませ~。」

私は恥ずかしさから一回咳払いをして、思いっきり作り笑いでリビングから見送りをした。

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