明日は明日の恋をする
「それで何で元彼とはやらなかったんだ?」

「私を求めてくれるのは嬉しかったし私もそれに答えたかった。でも私、男性経験がなくて未知の世界に踏み入るのが怖いっていうのもあるんですけど、いざとなると何か気持ちが冷めるというか…。」

「冷める?」

「う〜ん…どう言ったらいいかな。良い雰囲気になった時に、脳裏に浮かんでくるんです。もし彼を拒んだらやっぱり私から離れていくのかな?愛ってそんなものなのかなって。」

「それで拒み続けて二股かけられて挙句に振られたって事か。なるほどね〜。」

「私が悪かったのかな…。」

「そうだな。お前は男心が分からな過ぎる。だが女に余裕を与える男も悪いな。」

すると何故か進藤さんはソファーに座れと言わんばかりにトントンとソファーを手で叩く。よく分からないが私は立ち上がり、ちょこんとソファーに座った。

進藤さんの隣に座り横を向く。進藤さんがじぃっと見つめてくる。私は金縛りにあったかのように進藤さんの目から視線を外せない。

もしかしてこのまま…

「今のお前に必要なのは、未知の世界に一歩踏み込む事だ。」

お酒の味…

私は自然と目を閉じて進藤さんの唇を受け入れる。そして唇が離れると、進藤さんが囁いた。

「余計な事は何も考えるな。今は俺だけを見てろ。」

「え…?」

2回目のキス。

さっきの優しいキスとは違い、深く激しく私の唇を刺激する。全身に電流が走るような、初めて味わう感覚が私の中に現れた。

ゆっくりと唇が離れる。私は何故か名残惜しさを感じていた。この感情は一体?突然の事に呆然としながら進藤さんを見た。

すると、少し笑みを浮かべながら進藤さんがふわっと私を優しく抱きしめる。

何だろう…物凄い安心感。緊張が解けたのか、私も抱きしめられた腕の中で力を抜き、進藤さんに身体を寄せた。

「…場所を変えるか。」

進藤さんはヒョイっと私を抱きかかえ、進藤さんの部屋に連れて行く。部屋に入るとベッドの上にそっと降ろされた。
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