明日は明日の恋をする
「あ、そうだ。今日はナオ君、明日香ちゃんって呼び合おう。そして敬語禁止ね。OK?」

「えっと…分かりました…じゃなくて、分かった。」

私はすっかり高瀬さんのペースに巻き込まれていた。でもデートなんて久しぶりだし、私は今日を楽しむ事にした。

「映画どれ見ようか?明日香ちゃん何か見たいのある?」

「う~ん。」

私達は映画館へ着き、見る映画を選んでいた。恋愛映画見たいけど、高瀬さんはアクション系とか好きそうなイメージ…。悩むなぁ。

「俺さ…これ見たいんだけど。」

私が迷っていると、高瀬さんは少し照れたように指をさした。高瀬さんが選んだのは意外にも恋愛映画だった。

「私に合わせてくれてる?」

「俺…好きなんだ、恋愛系。」

恥ずかしそうにそう言う高瀬さんが何だか可愛く見えた。もしかして、私が今使わせてもらっている部屋にあった恋愛系のブルーレイって高瀬さんのかも。だとしたら、本当に恋愛系が好きなんだな。

「私も恋愛系が見たかったからこれにしよっか。」

見る映画も決まり、2人でラブストーリーを堪能する。薄暗い館内、大きなスクリーンに映し出されるラブストーリー…

ドキドキしながらスクリーンを見ていると、隣に座っている高瀬さんが私の手を握りしめてきた。

私は慌てて高瀬さんの方を向く。

「恋人っぽいでしょ?」

恋人繋ぎをしながら、高瀬さんは私の耳元で囁いた。

私は握られた手にドキドキしてしまい、映画にはあまり集中出来なかった。
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