明日は明日の恋をする
「ナオ君、ずるい。」

「あはは…話聞いてあげるから全部気持ちを吐き出しちゃえ。1人で抱え込むのも辛いっしょ?」

高瀬さんって、本当に私の事好きなのだろうか。若干、面白がっている気もする。でも、気持ちをさらけ出したら…少しは楽になるのかな。

「さっきも言ったけど、私…まだ自分の気持ちが整理しきれてないんです。進藤さんの事好きになったかもっていうのに気づいたのも最近なので。」

「それにしても馬鹿だよね、明日香ちゃん。俺、前に忠告したじゃん。『ケイスケを好きになっても報われないよ』って。婚約者いるんだからさ。」

「そうだけど…ナオ君、意外とズバズバ言うね。」

「そう?まぁ話は聞くけど、明日香ちゃんの恋を応援なんてしないし、アドバイスもしないよ。何せ俺は自分の恋を応援しなきゃいけないからね。」

あ、高瀬さんのドSな笑顔。

「もうひとつ言わせてもらうと、ケイスケとお嬢様を見る明日香ちゃんの顔、時々切ない表情になってるよ。」

「嘘!?」

「ケイスケの事、本当に好きなんだね。まぁアイツの素を知ってて好きっていうくらいだもんなぁ。」

「恥ずかしいから…あんまり好き好き言わないで。」

「好きになるのは悪い事じゃないんだから、そろそろ認めなよ。ケイスケの事が大好きって。それと、明日香ちゃんの手の怪我に気づいたのはケイスケだよ。ケイスケに言われて俺が手当てしたんだ。アイツも明日香ちゃんの事、よく見てるよね。」

あっ、美玲さんの部屋の前で進藤さんが高瀬さんを呼んだ時…あの時話してたのか。私の事も気にしてくれたんだ。思わず顔がはにかむ。

うぅ…高瀬さんはそんな私の顔を覗き込んでくる。さっきまでの涙は止まったが、恥ずかしさから顔が赤面してしまった。
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