明日は明日の恋をする
「まぁさっきも言ったけど、辛い時は1人で抱え込まない事。今日からは俺が話を聞くからさ。」

「うん…ありがとう。でも…。」

「ん?もしかして俺が明日香ちゃんの事好きだからって気にしてる?だったら何の問題もないよ。俺はこの先、明日香ちゃんが失恋して傷ついて弱っている隙につけ込んで本気で口説く予定だから。」

どこまでが本気なのか分からないが、高瀬さんと話しして気持ちが楽になったのは確かだった。

そして疲れが一気に出てきて、私はそのまま高瀬さんにもたれかかりながらスヤスヤ寝てしまった。

「この子は何でこの状況で寝ちゃうかね。襲っちゃうぞ。」

高瀬さんは私の方を向き、優しく微笑みながら拳で私の頭をコツンとする。もちろん私にはこの時の記憶はない。

それから数時間が経ち、外は夕暮れの時を迎えていた。茜色の空が広がり、カーテンの隙間から夕日が差し込んでくる。

ーー コンコン

「高瀬、いるか?」

高瀬さんは部屋のドアを少しだけ開ける。部屋の前には進藤さんと美玲さんがいた。

「何でこそっとしているんだ?」

「いえ…今部屋で明日香ちゃんが寝てまして。」

「まぁ、そうでしたの。ディナーの時間が夜7時からですので、時間になりましたら最上階のレストランまでいらしてね。」

「はい、分かりました。」

進藤さんと美玲さんは用件を伝えると、廊下を歩き出した。

「あっ社長…ちょっとよろしいですか?」

「どうした?」

進藤さんは美玲さんから離れ、高瀬さんのところへ戻る。

「ケイスケ、俺さっき明日香ちゃんに告白したんだ。」

美玲さんに聞こえないように小声で話す。一瞬だけ進藤さんの表情が素に戻った。

私はまだ絶賛爆睡中なので、この時のやり取りを知らなかった。
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