明日は明日の恋をする
「…ちゃん、明日香ちゃん。そろそろ起きるよー。」

気持ちよく寝ていたが誰かの声に起こされ、私は目を覚ました。

「ん…ここは…。」

目をこすりながらキョロキョロとする。そして目が覚めるにつれ、寝る前の記憶が戻ってきた。

「あれ?私何でベッドの上で寝てるの?」

そして高瀬さんが視界に入る。?マークが飛び交っている私を見ながらクスクス笑っている。

「明日香ちゃん、話の途中で寝ちゃったんだよ。そのまま襲っても良かったんだけど、疲れてるみたいだったからベッドまで運んだんだ。俺って紳士でしょ?」

「す、すみません…。」

「7時からディナーだって。着替えて最上階のレストランに行こう。」

私は自分の部屋に戻って着替えた。

「お待たせ。」

「おっ、雰囲気変えてきたね。」

着替え終わった私は、美玲さんに対抗したわけじゃないけど、清楚系のスカートをはき、髪型も髪を下ろしコテで巻いてみた。

「な、何となく…。」

「可愛いよ。じゃあ行こうか。」

最上階のレストランへ着いた。しかしまだ進藤さん達は居なかった。

私達が美玲さんの連れだと分かると、窓側奥の1番良い席に案内された。窓からはライトアップされた夜景が綺麗に見える。

「何か緊張するね。高級感漂ってるし。」

「そうだね。」

高級感溢れる静かな空間にクラシック音楽が流れている。こんな雰囲気の中、何を話したらいいか考えていると高瀬さんが話を切り出してきた。

「そういや、ケイスケは何でお嬢様と婚約してると思う?」

「何でって…うーん、何で?」

「答えは簡単。ケイスケがお嬢様に気に入られたからだよ。そして有栖川財閥がバックについた進藤コーポレーションの業績は右肩上がり…正式に婚約成立。会社的には有難いけど、拒否権のないケイスケは可哀想だよな。」

「それじゃあ…進藤さんの意思は?美玲さんの事が好きで婚約したわけじゃないの?」

「ケイスケの本音は分からないけど、アイツは真面目な奴だからさ、自分の本音(きもち)は二の次で、今背負っている進藤コーポレーションの発展と働く社員達を第一に考えているはずさ。だから絶対お嬢様との婚約を解消することはない。万一、婚約解消にでもなったら会社も社員も露頭に迷うことになるからね。」

だから進藤さんを好きになっても報われない恋で終わるって事か。でもそれって…何だか進藤さんが可哀想…。
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