明日は明日の恋をする
「今日も暑いね~。」

高瀬さんはネクタイを少し緩めて、手でパタパタと仰ぐ。2人で座っているベンチは木の影に隠れているが、それでもやっぱり汗が止まらない。

「それで、何で求人誌なんか見てたの?ケイスケと何かあった?」

買ってきたジュースを一本取り出して私に渡してくる。私はそれを受け取り、質問に答えた。

「一泊旅行の後から、何だか進藤さんの様子がおかしい気がするんです。普段通りって言えば普段通りなんですけど、何か私との間に1枚壁を作ってるというか…。」

「マジ?…へぇ、もしかしてアイツ…。」

心当たりがあるのか高瀬さんはニィっと笑い、1人で納得したような顔をする。

「何か心当たりがあるんですか?…やっぱり美玲さんとの結婚が決まったとか?」

「結婚?…あぁ、だから明日香ちゃん求人誌なんか見てたんだ。」

「だって結婚が決まったなら、私がハウスキーパーする必要ないじゃないですか。だから…早く仕事と住むところを探さなきゃって思って。」

「まぁ結婚の話はどこまで進んでいるか分からないけど、ケイスケも何か今疲れきってるからさ、時間がある時にゆっくり話し相手にでもなってあげて。じゃあ俺は仕事に戻るわ。」

高瀬さんはそう言うとベンチから立ち上がり、少し歩いてまた立ち止まる。

「またデートしようね。」

振り返ったかと思ったら笑顔で投げキッスをして、手を振りながら公園を後にした。

「相変わらずだな、高瀬さんは。」

高瀬さんから少し元気を貰った気がする。私はジュースを飲みながら青く澄み渡った空を眺めた。
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