明日は明日の恋をする
「…明日香。」

「はい?」

進藤さんは下を向き、俯き加減で話す。

「…雰囲気壊して申し訳ないが。」

「どうしました?」

「もう限界だ。睡魔に勝てない…眠い。」

「えぇ?」

そうだった。めっちゃお酒飲んできたんだっけ。せっかく良い雰囲気だったのに、まぁしょうがないか。私は軽くため息をついた。

「ソファーで寝たらダメですよ。寝るならベッドで寝て下さい。」

「分かってる。」

そう言って怠そうに立ち上がり、進藤さんは自分の部屋に戻っていった。

「大丈夫かな。」

進藤さんが部屋に入るまで見届けると、私も自分の部屋に戻り、ふと心配になった。

進藤さん…明日起きた時、さっきの事お酒のせいで全部忘れてないよね?

そして朝になった。

リビングに向かう途中に聞こえてくるシャワーの音、進藤さんもう起きてるんだ。さて、昨日の事を覚えているのか…私はドキドキしながらコーヒーを入れて待つ。

「起きてたのか。」

シャワーを浴び、スーツを着ていつでも仕事に行ける状態の進藤さんが、テンション低めにソファーに座る。

「おはようございます。」

いつものように進藤さんの前にコーヒーを置く。

「…どうかしましたか?」

俯き加減の進藤さんに声をかける。機嫌が悪いのか考え事をしてるのか、はたまた具合が悪いのか…どれだろう。

「…すげぇ頭がガンガンする。昨日飲み過ぎた。」

なるほど、二日酔い。

「飲み会、休みの前にすれば良かったのに。」

「俺はそう言ったんだ。飲みは金曜日にするぞって。そしたらみんながみんな土日休みの仕事だと思うなよって言われ、そこでナオトが『じゃあみんなが次の日仕事って日に飲もうぜ。会社に迷惑かけるぞ。』って言って昨日になったんだ。ナオトの奴、社長(おれ)の前でよく言うよな。」

「あはは、学生みたいなノリですね。楽しそう。」

「昨日は悪かったな。今日は早く帰るようにする。」

コーヒーを飲み終わった後、ソファーから立ち上がり私の頭をポンっとして、そのまま仕事に行った。

良かった…昨日の事覚えてたんだ。
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