明日は明日の恋をする
その日の夜…

ーー ガチャ

進藤さんが約束どおり早めに帰ってきた。

「ただいま、明日香ちゃん。」

にっこりしながらリビングに来たのは高瀬さんだった。

「お前はただいまじゃないだろ。」

高瀬さんの後ろから進藤さんは頭を叩き、部屋に入っていく。

「こんばんは、高瀬さん。」

私はクスクスと笑いながら声をかける。

「こんばんは、明日香ちゃん。…ケイスケに聞いたよ。別れる前提で付き合うんだって?」

「えっと…は、はい。」

進藤さん、高瀬さんに話したんだ。

「一言言っていい?明日香ちゃん…バカだよね。」

にっこりしながらグサッと刺さる一言を言われた。その一言に私は不貞腐れたように答える。

「えぇ…どうせ私はバカですよ。」

「本当にバカだ。後から辛い思いをするだけなのに。バカだよね。」

「そんなにバカバカ言わなくても…。」

「まぁ明日香ちゃんが決めた事だし、俺はこれ以上何も言わないけど……おめでとう。良かったね。」

「高瀬さん…ありがとう。」

「でも辛い時はケイスケには内緒で話聞いてあげるから、1人で抱え込まない事。約束ね。あっ俺は今でも明日香ちゃんの事好きだから、惚気(のろけ)話はまだ勘弁してね。」

「はい。」

相変わらず軽いノリで話をする高瀬さん。でもまさか祝福してくれるとは思わなかったから、私は嬉しさで泣きそうになった。

私と高瀬さんが話をしていると、進藤さんがリビングへ戻ってきた。

「明日香ちゃんと話もしたし、今日はもう帰るわ。…けどその前に、明日香ちゃんはあっち向いてて。」

高瀬さんは私の肩を持ちクルッと反対の方へ向きを変える。何をするんだろう。
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