明日は明日の恋をする
「ケイスケ、まだ祝福してなかったな。一応言っとく…おめでとう。」

バキッ

な、何?何の音?

私は勢いよく振り向き、進藤さんと高瀬さんの方を見た。

拳を握っている高瀬さんに、口の中が切れて血が出ている進藤さん…。この状況ってもしかして、高瀬さんが進藤さんを殴った!?

「ちゃんと、明日香ちゃん大事にしろよ。」

「あぁ。」

高瀬さんは自分の拳をさすり、進藤さんに向かって舌を出しあっかんべーとしている。進藤さんは口から出ている血を手の甲で拭い、笑みを浮かべた。

私はどうしていいのか分からず、1人ハラハラしていた。

「じゃあまたね、明日香ちゃん。ケイスケに泣かされたらいつでも俺の胸を貸すよ。」

高瀬さんは私に手を振り、笑顔で帰っていった。

「だ、大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫と言いたいとこだが…すげぇ痛い。」

私は冷やしたハンカチを持ってきて殴られたところに当てる。

「ナオトに話したんだ。勝手に悪かったな。アイツには隠し事をしたくないんだ。」

「いえ…全然。」

信頼できる親友なんだなぁ…2人の関係性が私には羨ましかった。

「口の中…痛そう。食事摂れますか?」

「辛い系以外だったら大丈夫だ。」

食事の準備をしようとしたその時、進藤さんの携帯が鳴り始める。進藤さんは携帯を見て一瞬顔を歪め、ソファーから立ち上がった。

「…お嬢様からだ。悪い、ちょっと出てくる。」

申し訳なさそうな表情をしながら、自分の部屋に入っていく。仕事モードになって楽しく話をしてるのかな。5分くらい経つと進藤さんが部屋から出てきた。何だか微妙な表情をしている。

「呼び出された。少し外出してくる。すぐ帰るから。」

「顔の腫れ…何か言われるんじゃ?」

「何とか誤魔化すさ。」

スーツの上を着て、進藤さんはまた出かけていった。
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