My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
でもアルディートさんの視線はなぜかラグを凝視したまま。それが更にセリーンの怒りを煽って。
「何をじっと見つめている! この子には指一本触れさせんぞ!」
「いや、その子……」
もしかしたらアルディートさんもラグの様子がおかしいことに気付いたのかもしれない。
そう思った私はいよいよ青ざめた顔のラグに声を掛けた。
「ラグ、大丈夫?」
「ラグだって!?」
途端大声を上げたアルディートさんに私はぎょっとする。
「そうだよな! やっぱラグだよな、絶対に見たことあると思ったんだよ! その顔、俺が忘れるわけねぇもんなぁ!」
ラグを指差し興奮したように早口で捲し立てるアルディートさん。
その顔は紅潮して、なんだかとっても嬉しそうで、――でも、一瞬その動きと笑顔が固まり、
「……てか、なんで小さいんだ?」
そう、酷く冷静な声で言ったのだった。