My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
「私たちはエレヴァートには入らないということか」
「そういうことだ」
「え、どういうこと?」
「……ノーヴァは国境の町」
話についていけない私にセリーンが低いトーンのまま説明してくれた。
「ランフォルセとエレヴァートを分かつこの広大なソレネィユ山脈にあり、どちらの国にも属さない独立した町。それがノーヴァだ」
「えっと……じゃあ、ラグだけエレヴァートに入って、私たちはそこで待ってろってこと?」
「そうだ」
「聞いていないぞ」
「言ってないからな。つーか誰が一緒に行くなんて言った。なんのために戻ってきたと思ってんだ。銀のセイレーンはオレが始末したって報告しに行くのに、お前達がいたんじゃめちゃくちゃ怪しまれるじゃねーか」
――そう。ここ数日色々と考え、銀のセイレーンはラグが始末したことにするのが一番都合良いということになった。
そうすればラグもストレッタでの立場が悪くならないし、ランフォルセの疑いもおそらくは晴れる。
何より銀のセイレーンがいなくなったことにすれば、私もこれ以上追われずに済むのだ。