My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
アルさんが首を傾げつつこちらに戻ってくる。
「どうします?」
「明らかに怪しいな」
「まぁな」
アルさんとラグの受答えを聞きながら知らずごくりと喉が鳴ってしまった。
――ビアンカの上で私はフィエールが言っていたことを全て皆に話した。
ストレッタが銀のセイレーンと手を組んでいると勘違いされていること。そしてランフォルセ国王が私の力を欲しがっているらしいことも。
と、私の緊張が伝わってしまったのかアルさんがこちらに視線を向けた。
「ま、さっきも言ったけど、この国にランフォルセの情報が入っている可能性は低いから、そっちの心配は無いと思うけどな。とりあえず入っとく? カノンちゃんお腹減ってんだろ」
「は、はい」
ビアンカの上で一応の非常食はもらったものの、まだ胃はほとんど空っぽの状態だった。
「んじゃ、けってーい! 何かあったらこの俺もいるわけだし何とかなるなるー!」
そう軽く笑いながら先ほどの家に大股で歩いていくアルさんに、ラグは盛大に溜息を漏らしながらもついて行く。
と、ぽんと頭に手が置かれた。
「私たちも行こう」
「うん」
大丈夫だ、そんなセリーンの微笑みに促され私もラグ達の後を追った。