My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
一拍置いて、3人の安堵の溜息が重なる。
まだドキドキと心臓が煩い。手足が震えて、すぐには起き上がれそうになかった。
着地の時の衝撃が少なかったのは、一面に広がる積雪のためとわかった。
直前まで足跡一つなかっただろうその真っ白な雪面の上にビアンカによって倒された木々の枝が無残に散らばっている。
背中のぬくもりがすっと消えて、セリーンが離れたのがわかった。――あのとき彼女が身体を押さえてくれていなかったら、私は確実にひとり空中に投げ出されていただろう。
お礼を言おうとそのままの体勢で振り返ったが、それよりも早く前方から高い悲鳴が上がった。
「重いわアホ! 圧し掛かるんじゃねーー!!」
「怖かっただろう、もう安心だからな!」
見ると、小さなラグの体の上につい今し方私にしていたようにセリーンが覆いかぶさっていた。
思いっきりバタつく小さな足がここから見え、私はいつものようにひとりこっそり苦笑しつつ、そういえばポケットの中で寝ているはずのブゥは潰れていないだろうかと少し心配になった。と、
「カノン! お前が歌っていれば術を使わないで済んだんだ!」
私も怒鳴られてしまった。