My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
「あ。そこって寒い? 暑い?」
我ながら間抜けな質問だとは思ったが、私にとってはかなり重要なことだ。また急な気温の変化で体調を崩したくはない。
「フェルクよりは暑くないな」
「ってことは暑いんだ……」
セリーンの答えに少し顔が引きつってしまった。
「クレドヴァロールに着いたらあのデカ蛇は帰せばいいだろ」
「そうだね」
ビアンカの有難味がわかってしまうととても辛いし寂しいけれど、ライゼちゃん達のことを考えるとやはり早く帰してあげたい。
「カノン、食欲はあるか?」
「あ、うん! そうだ、さっき下に行こうと思ってたの! お腹ペコペコで」
「女将にはお前の分も頼んであるからな。……だが、あまり期待しないほうがいい」
「え?」
咄嗟に料理のことを言っているのかと思った。でも違った。
「こいつが余計なことをしやがったせいで、この村の奴ら全員に術士だってことがばれちまったからな」
「え、やっぱ俺のせい?」
あっけらかんと自分を指差すアルさん。
そして昼間の偽ラグ騒ぎのことを思い出した。
「あ、あれってやっぱアルさんだったんだ。……え、でも一応助けたことになるんだし、皆喜んでくれたんじゃないの?」
「だろー? 俺も良かれと思ってやったことなのによ~」
アルさんが子供のように口を尖らせ言う。