My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
と、そんなアルさんにラグが言う。
「おい、もう一度言うぞ。戻るなら今だからな」
「は? 何処に?」
「何処に、じゃねーよ! ストレッタに決まってるだろうが!!」
首を傾げたアルさんに向かって怒鳴るラグ。すでにポケットの中でお休み中のブゥが起きてしまわないか心配になるほどの大声だ。
しかしアルさんは相変わらず全く気にしていない様子で、寧ろ呆れたふうに言う。
「なんだお前まだそんなこと言ってんのかよ。いい加減しつこいぞー。言っただろう。俺も一緒に行くって」
そうきっぱりと言ってから得意げに続けた。
「お前は早くその呪いを解きたいんだろ? だったら俺が居た方が断然早く」
「おいタレメガネ」
途中で私の後ろから声が掛かった。
「タレメ……? え、俺のこと?」
自分を指差しながら私越しにセリーンを見るアルさん。その顔は笑っていたが微かに口元が引きつっていた。
「他に誰がいる。奴と同意見なのは癪だが、貴様は色々な意味で邪魔だ。よって今すぐにストレッタへ帰れ」
「うっわーー! なんかすっごい酷いこと言われたーー!!」