My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
こんなに積もった雪の上を歩くのは中学で行ったスキー教室以来で、こんな状況でなければはしゃいでいたかもしれないが、今はビアンカが心配だ。
ライゼちゃんから預かった、フェルクレールトにとって神聖な存在であるビアンカ。そんな彼女に何かあったら大ごとだ。
私は雪に足を取られながらも急いでセリーンの隣へ並んだ。
ビアンカはしっかりと目を瞑り、声を掛けても、ラグがどんなに騒いでも、やはりぴくりとも動かない。
「息は一応しているみたいだな」
顏の正面に回り込んだセリーンが、ラグを抱えていない方の手をビアンカの鼻の前に差し出していた。
「じゃあ、眠ってるってこと? ……あ。」
そのときふいに頭に浮かんだ言葉があった。
「もしかして、冬眠?」
「冬眠だぁ!?」
ラグが甲高い声を上げた。